Research研究課題

第一原理MD法による機能物質設計

現在、下記の課題の研究を進めている。

不均一系触媒の第一原理MD計算

触媒は、有用な物質を新規合成する、既存の物質をより効率的に合成する、逆に有害な物質を無害な物質に変換する等、我々の実生活において必要不可欠な物質である。その研究や開発の歴史は非常に古いが、現在においても最先端の研究領域において主要な課題の一つとして位置付けられている。我々は特に、固体表面上に担持されている金属クラスター、もしくは固体表面そのものを対象として、不均一系触媒の作用解明と新規触媒設計を第一原理分子動力学計算を用いて進めている。触媒の理論研究では、量子力学計算やバンド計計算等の定常状態計算を用いることが多いが、これらの計算手法ではダイナミカルな素過程である化学反応を直接的に扱うことができず、触媒作用にとって極めて重要な温度の効果を取り込むことが難しい。その点、第一原理MD計算では、これらの問題を解決し、実在系に対応した有限温度、実時間・実空間での触媒の素過程を追跡、解明することが可能である。 尚、この研究課題は、触媒・電池の元素戦略研究拠点(拠点長:田中庸裕京都大学教授)プロジェクトの課題として進行中。

最近我々は、グラフェン上のPtクラスター触媒によるCO酸化が、Langmuir-Hinshelwood型反応で進んでいることを明らかにし、高価なPtを安価なAlで置換しても、その触媒メカニズムや触媒活性が殆ど変わらないことを明らかにした。今回の研究成果は、現在、自動車は排ガス触媒として用いられている三元触媒のPt使用量削減に繋がる代替金属クラスター触媒の設計に資すると期待できる。Chem. E. J.に受理され、Art Workにも採用された。[1]

金属有機構造体(MOF)による水素貯蔵

金属と多座配位子の結合からできる規則的・周期的な多孔性構造を持つ錯体は金属有機構造体(MOF)と呼ばれており、多種多様な類似のMOFを合成する興味だけではなく、気体分子の貯蔵、特定の物質の選別・除去、触媒作用、新奇化学反応場形成、電気的・光学的性質の発現など高い機能物質として期待されることから、非常に多くの研究が世界中で進められている。我々は、MOF-5やIR-MOF6と呼ばれるMOFを対象として、その水素貯蔵メカニズムを第一原理MD計算を用いて明らかにするべく、研究を行っている。

PAGE TOP